テトラ ペルチェ式クーラーCR-3の改造



テトラのペルチェ式水槽クーラーCR-3、12000円位で購入
最初は(もうやめてしまったビーシュリンプの30cm水槽に
使用していましたが、エビの全滅によりメイン水槽(ルームメイト)
に移動して2009年の夏を越えました。
ところが同年秋口あたりから、「下がるはず」の水温が下がらず
さらに冬になると例年より水温が上がっていることに気づきました。
おかしいと思い、分解しながら確認、ついでに改造したのでまとめておきます。
思いっきり改造したので当然保障外(笑)保障期間も切れたので問題なしです。

前編:分解−部品外し
後編:改造−完成

分解−部品外し

空けてビックリ。各3つあるペルチェ素子と空冷ファンの1つずつが停止
しかも、その位置が別々なので、実質1組の冷却ユニットががんばり、
残りの2組で、送風+加熱という悲惨な状態でした。

[ペルチェ素子とは]
ペルチェ素子は異種金属間に電流を流すことでジュール熱以外の
熱を発生させることができ、金属の片側が冷却、反対側の金属が
加熱する素子です。加熱した側の熱を交換(大気放出)できれば
クーラーとして、冷却した側の熱を交換できればヒーターとして
使えます。車のポータブル温冷蔵庫はこの原理を応用しているので
安価なのです。(でも消費電力はデカイ)

CR-3はホースを外し、ホース接続根元のプラスチックリングをねじって
取り外したあと、も裏側のビスを外せば簡単に分解できます。



ほこりまみれの中身


空気の通り道がない


真ん中のファンが止まってた

さらに分解を進めヒートシンクも取り外すと、ペルチェ素子とご対面。 放熱グリスは一応塗ってありました。


ヒートシンクを外す


ペルチェはTEC1-12706(6Aモデル)

ここで衝撃の事実が判明。なんとこのモデル、前作で冷えないと評判だった テトラクーラーCX-30の中身を3つ詰め込んだだけのモデルでした。 基板も3枚ですのでAC-DC変換も3系統に分かれているモデル。 設計に時間を掛けず熱交換容量をアップしたことになります。 故障率も3倍ということになります。



上下の基板が似ているな


同じユニットが3つ入ってた


ヒートシンクの形状

さてここから改造編です。

改造−完成

クーラーの改造から。ペルチェ素子単体は数オームの抵抗値ですが
1つは開放になっているのですぐに壊れているのが判明。
代替品を秋月電子で1枚購入600円でした。同じ型番ですので問題なしです。
資料を見たところ、ペルチェ素子は電流を流せば流すほど冷えますが
反対側の温度も高くなり、その熱拡散の効率が低いと冷却効果が低い
と記載されてました。それなら並列接続して1枚の印加電圧を下げて
電流も押さることで効率が稼げるとのこと。2枚重ねで熱も効率よく
下げられるとのことですが、エネルギー保存則によれば変わらないはず。
実際は1逆ピラミッド状(1段目:1枚、2段目:2枚・・・)に積むと
効率よく熱を伝播して大気拡散しやすくなるとのこと。これは正論
お金も掛けられないので、物は試しで2枚重ねをやってみました。



ヒートシンクのあった場所。グリスはアルコールで除去。


重ねて直列に接続


在庫関係で異なる熱量量の組み合わせ。
6A(ヒートシンク側)/8A(水槽パイプ側)


最後に各面にグリス塗布

回路を見ると、水槽パイプにもぐった負特性サーミスタは
各基板の電源制御回路につながっているだけで非常にいい加減
電源も3系統あり不効率(170W)ですので12V/3Aのスイッチング電源
に置き換え、マイコンで温度測定、ファンとペルチェの電源を制御
することにしました。
3系統で水温みてももったいないので、1つは抵抗値しらべがてら
抜き出し、機内温度の測定に充てました。



サーミスタも3個水槽パイプの位置に埋まっている。
抜くとグリスまみれ


抜くとグリスまみれ


抵抗値測定。室温で約10kオーム


ヒートシンクも90度回転。
穴はドリルとタガネで気合作成。


購入したシリコングリス


塗り塗りしてペルチェとヒートシンク取り付け

ここから電気回路の作成です。全体の制御はRenesas(旧NECエレクトロニクス)の uPD78F0501Aで行いました。
サーミスタを10kオームで分圧し、脇の下の温度(笑)から適当に補正係数を出して、エクセルで温度テーブルを作成、正規化してます。

閾値決定したら、制御対象のGPIOでFETをON/OFFさせます。表示は30秒間隔1セットで水温1/水温2/外気温/クーラー動作/温度設定値を切り替え、ON/OFF制御は ヒステリシスを持った温度閾値と比較して1分間隔でON/OFF更新させてます。(水温1、水温2でAND一致)

ペルチェ素子への電源は6Vまで降圧させています。周辺のレギュレータ電源含め、すべて電源IC専門メーカーのトレックスセミコンダクターで固めました。高性能で使いやすい電源ICのそろったメーカーです。

完成品のクーラー動作時電力ですがペルチェが大半を占め700mA(1次側換算)×3枚、ファン50mA×3、その他約20mAで約2.5A×12V=30W。 12VACアダプタの効率を70%で見ても約43W(CR-3カタログ定格170W)と省エネモデルになりました。



制御ブロック図


一番左の大きな基板が6V降圧DDC基板、その隣がファン電源制御基板
それぞれ3枚ずつつけました。ファン電源は電流制限機能付


中央の基板がマイコン基板、右に秋月LCD
外装の裏に1つのサーミスタを機内温度用に貼り付け

LCD表示パターン

実際の動作ですが、当初の予想通り、ペルチェ2枚重ねでも2倍の効果はでませんでした。 約45リットル相当の水槽で常に外気温-6度(外気33度なら27度)くらいを維持できたので。 ヨシとしておきます。
故障から完成まで約半年(途中3ヶ月くらい放置)となりました。



正面写真。ブルーのLCDが追加


側面写真。空気の通り道はのこぎりで大胆カット!


稼動状態。ちょっとコケあり(汗)。
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